まちづくり

20年、30年続く“レモン香る海峡のまち”を目指して… 「海峡レモン祭」開催!

海峡レモン祭に行ってきました!

こんにちは。大英産業・広報のニシヤマです。入社して、17年目になります。趣味は音楽鑑賞、お笑い好きです!この度、大英産業まちづくりマガジンの担当となりました。どうぞよろしくお願いします。

先日、社内で7月17日に下関でとあるお祭りが開かれるとの噂を耳にしました。

その名も“海峡レモン祭”

「ん?下関でレモン?いったいどういうことだ?」

学生時代に過ごした北九州市に根を下ろし、十数年。普段からまちと人の未来を考えて仕事をしていて、文化を育む「地域のお祭り」にも目がない私。これは行かねば!と関門海峡の向こう側である下関に足を運ぶことにしました。

……

お祭りの当日。直前まで雨予報で開催も心配されていましたが、それも嘘のように晴れています。

「これはレモン効果なのか……!?」

海峡レモン祭が開催される下関市役所横広場に向かいました。

ここで、今回の海峡レモン祭に関して、私が独自リサーチによって仕入れた情報を少々。

この海峡レモン祭を主催するのは「海峡レモン部」。彼らが行っているプロジェクトについて、ご紹介します。

――海峡レモンプロジェクトは、20年、30年続く“レモン香る海峡のまち”を目指して、 2020年に下関市豊浦町に「海峡レモンファーム」をつくりました。 我々は関門エリアで「海峡レモン」を育て、海峡レモンが将来関門の特産品となることで、子どもたちが根付く魅力的なふるさとになることを目標としています。 「海峡レモン」の実がなり、収穫できるのは5年後(2025年)。それまでの間にまちの人々が「海峡レモン」に親しみを感じ、一緒に育んでいけるよう「海峡レモン祭」を開催します!――(引用 海峡レモンプロジェクトFacebookページより)

関門エリアの新たな特産品をつくるべく立ち上がった「海峡レモンプロジェクト」。海峡レモン祭はかかわる皆さんと一緒に、年に一度、地域で楽しむイベントとして開催されています。

当日は、関門にゆかりのある各地の出店者さんの出店やワークショップ、さらにステージ企画もあり、夜まで楽しめるスケジュールに。

 

海峡レモン祭と大英産業

そんな海峡レモン祭の情報が社内で共有されていたのは、実は弊社が今回協賛させていただいていたからでございます。

我々大英産業も地域のまちづくりを担う一員として日々取り組んでいますが、同じように北九州でのまちづくりや地域貢献に関する取り組みを応援しています。

少子高齢化・人口減少・空地空家など、将来の日本の課題が先行する北九州市。この場所で暮らす方々と共に歩むことで、人々がどのように変化し新しい概念や姿が生まれていくのか、私はそのアップデートの最前線にいると思っています。

テクノロジーの進歩により、地球上のあらゆる事象をキャッチできるようになった今、逆に日常の生活のリアルが重要な意味を持つのではないか、その重要なキーになるのが「地域」だと考えています。

今回の海峡レモンの皆さんも「20年、30年続く“レモン香る海峡のまち”」を目指して、実際に自分たちの手を動かしているところをレモンの実がなる前からコツコツ発信されています。こうした地域を守り、育んでいく取り組みを応援したい!

海峡レモンが栽培されている関門エリアはまさに、北九州市のお隣でもあるため、ぜひ今後も共に盛り上げていけたらと思います!

 

会場に到着。かわいい!おいしい!が目白押し!

市役所が見えてくると、会場である隣の芝生広場はすでに多くの人で賑わっていました。

子ども連れのファミリーや、若いカップル、ご年配の方まで幅広い世代の方々がお店を楽しんだり、タープの下でくつろいでいます。

屋台には可愛らしいレモンカラーの提灯がぶら下がり、アクセサリーやフードなど、北九州市や山口県内各エリアからのステキなお店さんが多数集まっています。

種類豊富なタルトやキッシュのお店
かわいい小物がずらり

キッチンカーがずらりと立ち並び、お祭りに合わせてレモンを使ったメニューを出しているお店もありました!

キッチンカーがずらり
こんな笑顔にも出合えました
アツアツの料理を提供いただきます

どれも目移りするほどステキだなとウロウロしていると、メインステージではトークセッションが始まりました。お祭りを主催する「海峡レモン部」の菊池勇太さん、石川雄一さん、青山高志さんがマイクをもっています。

話を聞いてみると、地域の新しい特産品となる新しい商品をつくり、レモンの香る街となるようみんなで育てられている海峡レモンですが、コロナ禍で大変な状況の中、耕作されていなかった土地を一から耕し、レモンを植え、動物たちに荒らされても負けず、再び植えてと、波瀾万丈な時期を過ごされてきたようです。

写真中央・レモン農家のノッポさん
みんなで踊るレモンのうた

海峡レモンを育てている農家のノッポさんこと石川雄一さんは、プロのダンサーという顔もお持ちで、下関市内外のダンサーの方々とも交流の深い方です。

そのため、ステージでは大学生によるダンスショーなどが開催され、みなそれぞれ自分を表現しながら、いきいきと踊っていました。

下関市内の学生たちによるダンス

海峡レモンプロジェクトには、山口県岩国市出身のシンガーソングライターの原田侑子さんによる作詞作曲、さらにノッポさんによる振付のダンスもついた「レモンのうた」があります。

イベント中に、ノッポさんから「レモンのうた」のダンスのレクチャーがあり、僭越ながら私も参加者の皆さんと一緒に歌に合わせてダンスを踊りました!歌詞に合わせて、レモンを収穫する動作があったり、レモンがだんだんと大きくなる様子を表す動きがあったり、簡単な動きにも一つ一つ意味がこめられています。子どもたちがノリノリで踊る横で、私はぎこちないダンスでしたが(笑)、みんないきいきといい顔をされていて、会場全体が温かい空気でいっぱいになりました。

みんなで集合写真
帰路につきながら

出店・キッチンカー・ダンスと魅力的なコンテンツが目白押しなレモン祭でしたが、レモンの果実がまだできていなくても、こうして地域の皆さんと作り上げるというプロセスが魅力的で、勉強させてもらった1日となりました。

子どもも大人もおじいちゃんもおばあちゃんも、みんなが楽しむ素敵なお祭りであったレモン祭に参加して、今後も地域と関わっていきたいと改めて感じました。私も今後、得意のギターやドラムを演奏して、地域の方々と一緒に楽しめるようなイベントをしたいなと思います!

 

(インフォメーション)

海峡レモン
https://kaikyolemon.stores.jp/

Facebook
https://www.facebook.com/kaikyolemonbu

instagram
https://www.instagram.com/kaikyo_lemon/

まちづくり

こどもたちの”笑顔”で街を元気に【出張こども大工】

不動産という切り口以外で みんなを笑顔にする。

point
  1. 不動産という切り口以外でみんなを笑顔にする
  2. SDGsとしての位置づけ
  3. 【出張こども大工】がもたらす未来

不動産という切り口以外でみんなを笑顔にする

子どもたちの笑顔のために、様々な体験を通して地域育成を図る『北九州みらいキッズプロジェクト』。

その一環として、大英産業が中心となり、住宅を建築する際に出る端材を活用して子どもたちにイスづくりなどの大工体験をしてもらう【出張こども大工】を行っています。

【出張こども大工】はどのようにして始まったのか?
どんな未来が生まれようとしているのか?

担当の大英工務店・鮎川さん、大英産業・小野さんにお話を伺いました。

大英工務店・鮎川さん、大英産業・小野さん

まず、【出張こども大工】とは、どんな活動なのでしょう?

鮎川:家をつくるとき、どうしても木材が余ってしまうんです。その住宅端材を廃棄せずに活用しよう!と考えられたのが、子どもたちが自分たちの手でイスやフォトフレームをつくる大工体験です。

まず端材の切り出しを大工さんが行い、その後、障害福祉サービス事業所の『桑の実工房』がきれいにヤスリをかけて研磨してくれます。
そのすべすべの木材キットを使って、大工さんの指導のもと、子どもたちがイスやフォトフレームをつくっていきます。

軍手とヘルメットで大工さんになりきって、工程も電動インパクトドライバーを使ったりのこぎりを駆使したりと、作業はなかなか本格的。

電動インパクトドライバーを扱う子どもたちの表情も真剣です。

子どもたちも初めての体験に、夢中になってつくり上げます。
指導には大工さんのみならず、スポンサー企業の方や大英産業の社員も参加しますが、大人の方が熱中してしまうこともあります(笑)。

イスのキットは事前に幼稚園に送られ、子どもたちの手形と将来の夢が描き込まれるので、世界に一つだけのオリジナルのイスが出来上がります。

できあがった椅子に大満足の子どもたち

フォトフレームはこども大工を手伝ってくれている大学生たちのアイディア。
子どもたちはやることがないと集中力がなくなってしまうので、再生紙を使用した台紙にチェキで写真を撮って貼り付けてシールなどで好きにデコレーションすることで、常に楽しく作業できるような工夫もされているんです。

出来上がったフォトフレームには、子どもたちが描いたイラストを入れます。

自分自身でつくり上げた唯一無二のイスやフォトフレームは形として残るだけでなく、みんなで一緒に夢中になってつくった思い出としても、心に深く刻まれます。
そして子どもたちはこども大工を通して、自分のものを自分でつくるという達成感を得ることができます。それはきっと自信に繋がり、成長する過程で大きな励みになるはずです。

なぜ【出張こども大工】を始めようと思ったのかについても聞いてみました。

大人も学ぶきっかけに

鮎川:私が所属する大英工務店は、主に大英産業が販売する新築一戸建ての大工工事部分の施工を担当しています。

それまで、家を建てることが目的なので余った木材は廃棄するのが普通でしたが、それに違和感を覚えたんです。廃材を違う価値に変えられないか?と考えたのが、【こども大工】発案のきっかけです。

コロナ禍でなかなか子どもたちが楽しめる行事が開催できないこともあり、なんとか子どもたちを笑顔にできないか?その笑顔を親御さんにも見てもらえないか?というところから、“学び”にも繋がるこども大工のアイディアが生まれました。

SDGsとしての位置づけ

SDGsとしての位置づけ

住宅端材を活用することは、アップサイクルや資源保護など、持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献することができます。もちろん端材がイスに生まれ変わるだけでもアップサイクルにつながりますが、大事なのは“持続可能である”ということ。

そんなSDGsという観点からも大きな意義のある【出張こども大工】について、担当の小野さんに詳しく伺いました。

子どもの成長に毎回感動

小野:体験の前に子どもたちに「これは家をつくるときに余ってしまう木材です。こんなにたくさんの木が今まで捨てられていたんです。」と説明すると、きちんと理解して「それはもったいない!」と伝えたいことをしっかり受け止めてくれるんです。

小さい頃にアップサイクルの意識が生まれると、大きくなってからも自然と行動できるようになりますよね。実際に手を動かして自分たちの手でつくり上げることで、“体験”としてアップサイクルの精神が根付き、未来でも活かされるのだと思います。

そして、【出張こども大工】は新たな雇用や働きがいも創出し、経済成長へと繋っていきます。

木材をきれいに研磨してくれるのは、障害福祉サービス事業所の『桑の実工房』の方たち。丁寧に磨き上げてくれるので、こども大工で使用するキットだけでなく、端材を活用したスマホスタンドなどのノベルティやトロフィーなども一緒に取り組み、仕事の幅が広がっています。

もうひとつ、大工さんのセカンドキャリアとしての側面もあります。大工さんは職人気質でもくもくと仕事をするタイプの人が多く、最初は子どもたちと作業することに戸惑いもあったようですが、実際に活動が始まってみれば「孫と接するようで楽しい!」と、今では積極的に参加してくれています。

子どもたちにとってはイスとフォトフレームをつくるだけでも大変な作業なので、イベントのあとには「こんな小さいものでもこんなに大変なのにお家をつくっている大工さんはすごい!」と感想を述べる子もいて。

こども大工に関わっていると、「こんなに小さな子どもたちにもちゃんと伝わるんだ!」という感動があるんです。

【出張こども大工】がもたらす未来

【出張こども大工】がもたらす未来

さいごに、【出張こども大工】がこれからもたらしてくれる可能性について、鮎川さんにお聞きしました。

鮎川:【出張こども大工】は子どもたちにとって、ものづくりの楽しさだけでなく大変さも知ってもらえる貴重な機会。そして大人たちにとっても気付きや学びが多く、やりがいがあるイベントです。そうやって、端材からイスやフォトフレームへ資材として循環するだけでなく、子どもたちから大人へ、そしてまた子どもたちへと、想いも循環していくんです。資源を守る気持ちや生きがいを持つことの大切さを育み、子どもたちの成長によって大人もまた気付かされる。私自身、【出張こども大工】がきっかけでSDGsについて以前より意識するようになりました。端材活用におけるプロジェクト【HAZAI SDGs PROJECT】の一環として、廃棄の木材とプラスチックを掛け合わせて人口木材をつくる取り組みなどにも取り組んだり、新しい動きも生まれています。【出張こども大工】の可能性は、これからもまだまだ広がっていくことでしょう。

まちづくり

北九州発 これからのまちづくりを考える

去る1119日、合同会社ポルトと大英産業株式会社が共同主催し、《北九州発!これからのまちづくりを考える》というテーマでトークセッションを行いました。
公共不動産の利活用や官民連携の可能性などについてざっくばらんに意見交換していこう、という趣旨で開催したイベントです。

会場は北九州市の中心駅でもある小倉駅目の前、商業施設『セントシティ』内にコワーキングスペースを構える【ATOMica】のイベントスペース。
オフラインとオンラインの双方から企業や関係者が多数参加してくださり、会場には時折笑い声も起こって終始和やかな雰囲気で進んでいきました。

左側が北九州市建築都市局都市再生担当課長 御舩さん、
右側が再生企画課長 正野さん

今回のトークセッションは北九州市のこれからのまちづくりがテーマであり、現在、まちの将来ビジョンを策定している北九州市建築都市局都市再生担当課長の御舩さん、都市再生企画課長の正野さんにご登壇いただきました。

御舩さんは、30年先を見据えた北九州市の長期構想2050まちづくりビジョン』の策定に携わっています。
人口減少、少子高齢化などにより地域経済が厳しい局面を迎えている今、これからのまちづくりは成長の時代とは違い縮小の時代になる、と御舩さん。「財源も豊かにあるわけではないのだからと言って、何もしなくてもいいのか?」「各地区が持っている特徴やポテンシャルを活かし、限られた財源の中で有効的に効果的に進めていくには長期的なビジョンが必要なのではないか」。そう考えたことがこの『2050まちづくりビジョン』策定の原動力になったと言います。

「将来こういうまちになったらいいよね」というイメージを、公共だけではなく民間も共通認識として持ってもらえるツールとして、『まちづくり構想』を位置づけています。現在、たたき台として有識者やまちづくり団体などと意見交換をしており、パブリックコメントも実施予定とのことですので、今後も『2050まちづくりビジョン』の進化に注目したいと思います。

北九州市が作成した「2050まちづくりビジョン」のたたき

正野さんは去年まで東京事務所におり、移住政策や北九州の魅力を効果的に広げるため、東京でファンをつくるなどの活動をしていた方です。

現在は御舩さんと同じく北九州市でまちづくりに携わり、「まちは時代とともに変化していくため、時代にそぐわなくなってきたものをどう解決していくのか」「どうしたらこのまちが良くなるのか」ということを日々勉強されています。

ホテル跡地を活用して誕生した船場広場

北九州市が行なった官民連携のまちづくりの一つが、小倉北区のホテル跡地を利用した【船場広場】。
使われず活かしきれてなかった土地を何とかしようと、市議会や商工会議所と手を携えて土地の所有者に働きかけた北九州市。
「ぜひこの場所を開かれた空間に!」という熱い思いが伝わり、令和元年夏に無事オープンしました。

イベントの際には多くの人で賑わっている

市民の皆様に賑わいの場、憩いの場、若者のチャレンジの場として使ってほしいという願いの元、さまざまなイベントが行われています。今回のトークセッションに当たって正野さんは、「ヒントを持ち帰って明日からのまちづくりに活かしていきたい」という意気込みも語ってくれました。

今回のトークセッション、進行役は合同会社ポルトの菊池代表が行いましたが、北九州市が策定する『2050まちづくりビジョン』については、菊池さんも「街を本気で変えようとしていることを感じた」と感想を述べていました。

中央が特別ゲストの公共R不動産 飯石さん

そして今回は、日本で一番『公共不動産の利活用』について詳しいのではないか、というほど精通している公共R不動産の飯石藍さんにも特別ゲストとしてご登壇いただきました。
飯石さんは公共
R不動産をはじめ、東京でいくつかのわらじを履いて活動されている方です。

まず一つ目は公共R不動産。
全国には使われていない公共空間、例えば公園や道路、廃校などの情報がまだまだ眠っているので、それを表に出して民間の使いたい人に繋いでいくという事業です。

二つ目は株式会社nest
東京・池袋の空間づくりや場づくりをしている会社です。
毎月公園や道路でマーケットをやったり映画祭をやったりして、公共空間でできることを少しずつ広げていき、池袋のイメージを上げていく。
そうすることによって出店する人や参加する人が増え、いつの間にか住んでいる人にとってそれが日常の風景になる。
そんな、生活者と生産者が繋がって循環していけるような都市としての池袋を追求している事業です。

2021年11月に開催されたIKEBUKURO LIVING LOOP スペシャルマーケット。
多くの出店者と来場者で賑わった。 提供:株式会社nest

三つ目はリジョンワークス合同会社。
福岡に本社があり、地域づくり・組織づくり・地域の経済循環を軸とした都市デザインの会社です。

近年では、これまでの新築・駅近が評価されていた不動産ではなく、古くても自分で手を入れることで価値が上がっていくような、DIYすることで自分のほしい暮らしをつくり出すような、そんな 古いものがリノベーションされて、それを自分たちなりに使っていくというカルチャーがどんどん育っていると感じている飯石さん。
そんな時代の流れの中で、次は公共空間の活用が要になってくる、という思いに至った飯石さんが手がける事業は、すべて『公共空間の活用、行政と民間の間に入って場所の使い方や新しい事業づくりをうまくできるかのサポートをする』という点が共通しています。

大英産業株式会社 副社長の宮地

宮地は勤続43年、不動産一筋で不動会業界の変遷をすべて見てきました。
その中で「住まいに関わる課題は何だろう」と考えたとき、三つの議題に思い至りました。

一つ目はお客さまの価値観、家族形態の変化。
こちらに関しては時代のニーズに合ったコンパクトマンションを展開し、ご好評いただいております。二つ目は人口減少による空き地・空き家の増加。
こちらは多世代共生のまちづくりが大切という観点から、同じマンションでも同じ画一された間取りではなく、様々な間取りをご用意していろんな世代のお客さんに分譲できるような、持続可能な大型マンションを展開し、いろんな世代のお客さまがコミュニケーションを取ることで、新しいまちのようになることを目指しています。
三つ目は自然環境への負担。
こちらは
SDGsを通じて、元気で心豊かな未来を創れるよう様々な取り組みを行っています。

このように、大英産業の経営理念は、『元気な街、心豊かな暮らし』です。
私たちが働くまち、住むまちを元気にして、活性化して、私たちに関わる全ての人に幸せになってもらう。
そして心豊かな暮らしを送ってもらう。
そんな世界を実現しようと願う強い気持ちを表しています。

合同会社ポルトの代表 菊池さん

菊池さんは7人男兄弟の6男ということで、生まれた時からパシリのようにいろんなことをさせられていたからか、現在もありとあらゆる仕事を受けて幅広く活動しています。
大英産業に携わっているほか地元企業の岡野バルブでも働いており、その他、北九州市のオンライン移住相談員や震災をきっかけに3人で起ち上げた阿蘇の会社で民間の空き家バンクのような事業もしています。

そんな菊池さんが代表を務める合同会社ポルトは『クリエイティブ』『店舗と物販』の二本柱で運営しています。
ポルトを通じて門司港自体の知名度も上がってきており、実際に会社を起ち上げてから移住してきた若い世代が
30人くらいいるのだそう。
門司港という港町らしく、「混ざることを意識している」という菊池さんは、ポルトという会社を利用していろんなものをかき混ぜて想像していくことで、人の想像力が人の心を動かして、暮らしや街を変えていけるんじゃないかという実験をしているのだといいます。

今後実現していきたいことは、『地域課題と地元企業の資源をクリエイティブの掛け算』。
例えば、新しいコンテンツを地域課題を使って何かつくれないかというアプローチや、地元企業とクリエイティブを掛け合わせることで社会を変革できる事業を生み出せないかと考えています。

前半の登壇者自己紹介だけでも、みなさん個性的でかなり濃い内容となったので、一旦ブレイクタイム。

後半ではいよいよ、そんな個性的な登壇者同士でディスカッションを行いました。
せっかくの白熱したトークセッションですので、熱をそのままに会話形式でお伝えしたいと思います。

菊池:『2050まちづくりビジョン』はそもそもどのような経緯でつくられたんですか?

御舩:今からのまちづくりは、これまでの行政だけで考えていたのでは進められません。
地域の方々、まちづくりをしている事業者の方々と連携してまちづくりに取り組むべきだと思います。
「やみくもになるのではなく、目指すべきゴールの共通認識が必要では」と思ったのがきっかけですね。

菊池:内容はかなり切り込んでますよね。

御舩:今までの概念をいったん捨てなければいけないな、と。
今までは直近の課題解決の結果のまちづくりでしたが、これからのまちづくりに関しては遠い将来の大きな目標を掲げて、そこに向かってやれることから一歩ずつ積み上げていくことが必要だと考えました。

菊池:なるほど。

御舩:『2050まちづくりビジョン』にも、「まちづくりとは役者の舞台をつくること」という言葉があります。
ターゲットプレイヤーを決めてまちづくりの主役とする。役者も舞台がなければいい演技ができないですからね。

菊池:他に力を入れていることはありますか?

正野:高齢化も進んでいますが、若者が定着する上では働く場が必要ですよね。
そのためにはいろんな職業の選択肢が必要になり、特に
IT企業の誘致に力を入れているのですが、受け入れるオフィスビルが圧倒的に少なく、しかも古いんです。
築年数の経過したオフィスビルが多い。
せっかく誘致しても入れる場所がなく、時代のニーズに合っていないのが現状です。
そこで、
2050年にはまちごとワークプレイスを目指そうと思っています。

菊池:他にも北九州市が抱えている課題はありますか?

正野:これまで歩道整備に努めてきましたが、小倉をはじめ、まだまだ狭い歩道や通りがたくさんあります。
これについては人口減とともに車も減ってくると思いますので、その時代の交通量を見定めながら歩行者の空間を広げていきたいと考えています。
ゆっくり散策できて、楽しくなるようなまちを目指したいですね。

菊池:飯石さん、全国的にも道路を活用する動きってあるんでしょうか?

飯石:国としても、『歩行者利便増進道路』、通称『ほこみち』を導入する動きが進んできています。
賑わいのある道路空間をつくっていこう、という動きですね。
コロナ禍で沿道店舗の売り上げが減ったときに、特例で客先部分は外に出てもいいという許可(
https://www.mlit.go.jp/road/senyo/03.html)も出ましたが、それによって外に賑わいがあるっていいな、と感覚値として共有できましたよね。
その流れで、継続して屋内だけでなく外に賑わいが広がっている状況がつくれるといいなと感じています。

菊池:通りが自由になって、欧米っぽくなっていくのかもしれませんね。

飯石:昔はパブリックな空間が曖昧だったから、勝手に路上で野菜を売っていたりもしましたよね(笑)。
そんなおおらかな空間がまちに活気を取り戻していくような気がします。先ほども話に出た交通量の減少って、脱炭素の動きによる環境負荷の削減にも繋がるし、歩いて楽しむことでの周辺の商業の売り上げを上げる経済活性化にも繋がります。
一定期間は車が入らないようにして歩行者のみのトランジットモールにするなどして、歩くことでの動きをつくり出す動きも活発になりそうです。

菊池:宮地さん、民間の意識も変わってきている印象がありますが、その辺はいかがですか?

宮地:お客様自身に変化が起きているような気がします。
何より暮らしを大切にするようになり、広い家よりは家賃の安い家が好まれたり。
私たちも、ライフスタイルに合った良質な住まいを提供し、持続的に発展するまちをつくらなければ、という考えに変わってきました。

菊池:官民連携において何か課題はありますか?

飯石:まず、何からすればいいのかわからない、行政・民間がお互いのことをよくわからないため、連携といっても何を大切にすべきかわからない、という問題があります。
それに、公共空間は面積が大きいので1企業で活用しきるという体力がない場合も多いという問題もあります。
そこで、「まずは小さく始めよう」ということを呼びかけています。
実験的に、これからの未来の風景をつくるような単発的なイベントや暫定的に期間限定で出店してもらうんです。
トライアルをして、次のステップにつなげていくんですね。
いわば、社会実験です。

令和4年の春、静岡市清水区蒲原にオープン予定の「トライアルパーク」 市民や企業と行政が連携しながら使い方のトライアルを重ねて進化していく新たな実験場 提供:公共R不動産

菊池:なるほど、社会実験という名の規制緩和が大事なんですね。
北九州市の取り組みはいかがでしょうか?

正野:船場広場のキーワードは、まさに『チャレンジ』なんです。
広場の整備が目的ではなく、そこで何かパフォーマンスしてもらって、その空間で何かを生みだしてもらう。
それがまちのエネルギーになる、という考えですね。
官民連携はあくまでも一つの手段であって、エリアの価値を高めるのが究極の目的です。
エリアの価値が高まれば、北九州市への愛着心に繋がって住み続けようというプラスの循環が働く。
みなさんが輝けるようなパフォーマンスに使ってほしいし、そういう場所をできるだけ増やしていきたいですね。
チャレンジするためのひとつのきっかけが、社会実験なんだと思います。

菊池:不動産業界から見て、この『2050まちづくりビジョン』についてはどのように感じましたか?

宮地:もったいない、どうにかできないかなという土地はたくさんあります。
でも、どうアプローチしてどういう風にやればいいのかがわからないんですよね。
ですので、このようなビジョンが持つ力で、民間も勇気が出ます。
発信することでお互いに考えがわかって、まちづくりが少しずつ進んでいくのだと思います。

御舩:来月からパブリックコメントも集めますし、地域の方々がまずまちづくりに興味を持ってほしいと思います。
住んでいる人が楽しいと思えるようなまちにしていくことが大事ですね。
きっかけがまちづくりビジョンであってほしいなと思います。

菊池:一般の人も都市計画に関わっていない企業も、どんどん意見を発信することで新しいことが生めるかもしれませんよね。
今回、市の人がこんなにオープンに話してくれたことは、今後のまちづくりにとっても大きいと思います。
官民連携はもっと議論を活発にしてもいいんだな、ということが感じられたトークセッションでした。
ありがとうございました!

官民の枠を飛び越えて、それぞれ思いの丈をぶつけ合い、意見を交わすことができた今回のトークセッション。
ご視聴くださった方にとっても、まちづくりについて話すハードルが低くなり、自分たちのまちがより身近に感じるようになったのではないでしょうか?

参加してくださったみなさま、ご協力いただいた関係各所のみなさま、ありがとうございました。